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夢幻の世界へ誘う
立春から数えて二百十日の台風の厄日にあたる9月1日から3日にかけて、富山市八尾(やつお)町で毎年開催される風鎮祭「おわら風の盆」。農作物が風害に遭わないようにと、江戸時代から300年以上ものあいだ受け継がれてきました。数千のぼんぼりが灯る坂の町を、三味線、胡弓、太鼓のお囃子で唄い上げられる民謡おわら節にあわせて、揃いの法被や浴衣姿に編笠をつけた踊り手が流し歩く。おわらの優美な踊りや哀調を帯びた楽器の音色、繊細な歌詞は訪れる人を魅了してきました。本書では、この幻想的な情緒あふれるお祭りを20年以上にわたり撮影し続けている榎並悦子の写真作品で、風の盆の世界をご案内します。